【感想】シェリル・サンドバーグ『LEAN IN―リーン・イン 女性、仕事、リーダーへの意欲』

【感想】シェリル・サンドバーグ『LEAN IN―リーン・イン 女性、仕事、リーダーへの意欲』

結婚と出産。このふたつのライフイベントに直面したとき、多くの女性がまず考えることは「仕事、どうしよう?」ではないでしょうか。

結婚しても仕事は辞めない!と決めている女性でさえ、その両立の難しさを感じています。

今回は、キャリア、家庭生活、子育てに悩むすべての女性におすすめの一冊をご紹介します。

著者は、フェイスブック最高執行責任者(COO)シェリル・サンドバーグ

フォーチュン誌「世界で最も有力な女性50人」、タイム誌「世界で最も影響力のある100人」のひとりに選出された女性です。

『LEAN IN―リーン・イン 女性、仕事、リーダーへの意欲』

著者のシェリル・サンドバーグ氏について

著者のシェリル・サンドバーグ氏について
画像引用元:https://about.fb.com/ja/media-gallery/executives/sheryl-sandberg/

1969年、ワシントンD.C.出身のシェリル・サンドバーグ氏は、ハーバード大経済学部を首席で卒業。

現在はフェイスブックCOOである彼女は、以前はグーグルのグローバル・オンライン・セールスとオペレーション担当副社長でした。

この本が出版された2013年当時は、夫のデイブ・ゴールドバーグとふたりの子どもたちと暮らしていましたが、2015年にパートナーのデイブが亡くなったそうです。

「TED」の講演から生まれた本

さまざまな分野で活躍する人々の講演を聞くことができる「TED」をご存じですか?

上に紹介している動画は、シェリル・サンドバーグ氏の講演です。「TED」で200万回以上も再生され、その後、書籍『LEAN IN』は生まれました。

原作(英語版)『LEAN IN―Women, Work, and the Will to Lead』

『LEAN IN―リーン・イン 女性、仕事、リーダーへの意欲』内容紹介

印象にのこったところを、内容を引用しつつすこしだけ紹介します。

「男女平等」の現状

全世界では、少女を含めて四四〇万人もの女性が売春に従事させられている。アフガニスタンやスーダンのような国では、女の子はほとんど教育を受けられないし、妻は夫の所有物として扱われる。また、強姦された女性は一族の恥だとして家から放り出される例が後を絶たない。

世界には、上記のように人権を認められていない女性たちがいるなか、わたしたちは恵まれた状況にいるけれど、だからといって真に男女平等とはいえない、と書いています。

すべての人がかかわる決定が下されるとき、そこにいる多くは男性です。世界における女性元首の数は、男性にくらべて圧倒的に少ないのです。

自信をもてない女性

女性は、自信をもって自分を売り込んだり手を挙げたりできないだけでなく、女性自身がこの弱点に気づいていない。だから、男性との差がなかなか縮まらない。

シェリル氏が新しいプロジェクトを立ち上げたとき、男性社員たちはすぐ彼女のもとへやってきて、自分がいかにふさわしいかをアピールするそう。

いっぽう、女性社員はというと慎重な人が多く、シェリス氏が半ば強引にさそっても、「わたしに務まるでしょうか…?」と尻込みするそうです。

「根拠のない自信」は、自信過剰やうぬぼれとは違います。
「自分はできる」と信じることが、チャンスを掴むために必要なのだということです。

親になった人にかける言葉

親になったときの反応は人それぞれだが、世間の反応は画一的である。赤ちゃんが生まれたことをカップルが報告したら、誰もが「おめでとう!」と父親になった人に言うだろう。そして大多数の人が、「おめでとう、で、仕事はどうするの?」と母親になった人に言うはずだ。

差別する意識はなくても、子供が生まれた人にこんな言葉をかけたことがある人も多いのでは。

子育ては女性がするもの、という世間一般の見方はいまだにかわっていないということを表しています。

男女ともにめざす

パートナーが家事や育児を分担するようになり、そして雇用主と同僚から理解と協力を得られるようになるまで、女性に真の選択肢ははい。と同時に、家事や育児を引き受ける男性が理解と尊敬を得られるようになるまで、男性にも真の選択肢はない。

女性が真に社会において男性と平等になるには、パートナーの協力と理解が欠かせません。
いっぽう、それは家事や育児をする男性にとっても同じです。

男女ともにめざさなければ、真の平等は得られないとシェリル氏はいいます。

『LEAN IN―リーン・イン 女性、仕事、リーダーへの意欲』を読んで

「ハーバード大卒、フェイスブックの最高執行責任者なんて、自分とは違いすぎて参考にならない」

…なんて理由で、この本を遠ざけないでほしい。

そもそも、「女性なのにそんなポストに就いていて、尊敬するな…」と感じる時点で、「男性が就いて当たり前のポストなのに」という意識からきているのだ、と気がつきました。

シェリル氏は2人の子どもの母であり、子育てや家庭生活に悩むふつうの女性とおなじです。

さらに彼女は、責任ある立場になるにつれ批判の記事を書かかれることもあり、涙を流したこともあったそうです。

フェイスブック創業者であるマーク・ザッカーバーグ氏は、そんなシェリル氏の隣のデスクで働き、彼女から多くのことを学んだそう。

『LEAN IN』の帯に、ザッカ―バーグ氏が「とりわけ男性に読んでもらいたい」と書いているように、男性にも(いや、男性にこそ)ぜひ読んでほしい本だと感じます。

でも、女性だって、男性や周りの環境が変わってくれるのを待つだけではいけない。
一歩踏み出す(それが”Lean in”の意味!)のは自分自身だからです。

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です