自力翻訳した以下の明細書について記事を書きます。
Pub. No. US 2013/0260313 A1
PHOTOACID GENERATING POLYMERS CONTAINING AURETHANE LINKAGE FOR LTHOGRAPHY
今回は、明細書中に登場した「patternwise」と「imagewise」についてまとめます。
Patternwise
まず「patternwise」です。
「patternwise exposure(または「pattern-wise exposure」)」というフレーズで登場しました。
自力翻訳時には「-wise」をどう訳すべきか悩んだ挙句「パターン露光」と訳しました。
・「pattern」は何を指しているのか
・なぜ「-wise」がついているのか
そこまで考えて訳語を決定できていませんでした。
「-wise」が持つ意味としては、
- ~ように
- ~的に
- ~(方向、位置)に
などが挙げられます。
上記を踏まえると、「patternwise exposure」は「パターンを形成するように露光する」ということでしょうか。
先行特許の公開訳では、同様の文脈で登場するこのフレーズに対して「パターン様露光」という訳語がヒットします。
別の米国特許には、以下のように記載されています。
the patternwise exposure is conducted through a mask which is placed over the resist material.
上記から、「マスクを介して、このマスクのパターンに従ってレジストにパターンを形成するように露光する」ことを「patternwise exposure」と表現しているのだと考えます。
複数のサイトを調べると、これを「パターン状に露光する」と表現しています。
訳語を「パターン露光」から「パターン状の露光(又は「パターン状に露光し」)」に修正しました。
以下に、このフレーズが登場する文をいくつか挙げます。
patternwise①
Pattern-wise exposure of photoresist layer 22 is performed preferably using EUV and/or e-beam, resulting in exposed photoresist layer 32 of structure 30 (FIG. 1C).
自分訳:好ましくはEUV及び/又は電子ビームを用いてフォトレジスト層22をパターン状に露光すると、構造体30(図1C)の露光されたフォトレジスト層32が得られる。
読みやすさから上記のようにしましたが、「フォトレジスト層22のパターン状の露光を行う」とする方が、原文の構造により近いので好ましいかも知れません。
patternwise②
The pattern-wise exposure can be performed either dry or under immersion conditions, particularly immersion conditions utilizing a high index of refraction fluid between the lens element and the wafer.
自分訳:パターン状の露光は、乾燥又は液浸条件下のいずれか、特に、レンズ素子とウエハとの間に高屈折率の液体を用いた液浸条件で実施してよい。
patternwise③
The photoresist film was then patternwise exposed using 13.2 nm EUV radiation at doses ranging from 5 mJ/cm2 to 30 mJ/cm2, followed by a post exposure bake at temperatures ranging from 90° C. to 135° C. (see sample SEM photos for sample PEB temperatures) for 60 seconds.
自分訳:次いで、5 mJ/cm2~30 mJ/cm2の範囲の露光量にて13.2 nmのEUV放射を用いて上記フォトレジスト膜をパターン状に露光し、続いて90°C~135°Cの範囲の温度で(サンプルPEB温度についてはサンプルSEM画像を参照のこと)60秒間露光後ベークした。
Imagewise
次に、「imagewise」です。
「patternwise」と同様、こちらも「imagewise exposure」というフレーズで登場します。
文脈から、両者は同じ意味で使用されていますが、フォーカスしている部分が以下のように異なると解釈しました。
・「patternwise」な露光:フォトマスクのパターンに従って露光し、レジスト上にパターンを形成すること
・「imagewise」な露光:フォトマスクの像を光学的にレジスト上に投影して(露光して)潜像を形成すること
「imagewise」は「像に従って」と訳していましたが、「像様に露光」と修正しました。
imagewise①
The components of the photoresist layer, which include the PAG polymer and any optional additives after removal of the solvent, which are subjected imagewise to a radiation exposure, are collectively referred to herein as “photoresist”.
自分訳:溶剤除去後に本発明のPAGポリマーと任意の添加剤とを含むフォトレジスト層の成分は、像様に放射線に露光されるが、これらは本明細書ではまとめて「フォトレジスト」と呼ぶ。
imagewise②
The imagewise exposed and optionally post-exposure baked photoresist layer can be developed by, for example, immersion, puddle development, or other processes known to those skilled in the art.
自分訳:像様に露光し、かつ任意で露光後ベークしたフォトレジスト層は、例えば、浸漬現像、パドル現像、又は当業者に知られている他のプロセスによって現像してよい。
imagewise③
Also disclosed is a lithographic process, comprising:
disposing on a substrate a photoresist composition comprising an above-described PAG polymer, a solvent, and an optional base quencher;
removing the solvent, thereby forming a photoresist layer disposed on the substrate; optionally heating the photoresist layer in a post-application bake;
imagewise exposing the photoresist layer or the heated photoresist layer to a radiation, thereby forming an exposed photoresist layer comprising regions of exposed photoresist and regions of non-exposed photoresist;
optionally heating the exposed photoresist layer in a post-exposure bake;
treating the exposed photoresist layer or the heated exposed photoresist layer with a developer, thereby forming a relief pattern; and
optionally transferring the relief pattern to the substrate.
自分訳:リソグラフィプロセスであって、
上述したPAGポリマーと、溶剤と、任意の塩基性クエンチャとを含むフォトレジスト組成物を基板上に堆積させることと、
溶剤を除去し、それによって上記基板上に配置されたフォトレジスト層を形成することと、
上記フォトレジスト層を塗布後ベークにて任意で加熱することと、
フォトレジスト層又は加熱したフォトレジスト層を放射線に像様に露光し、それによって露光したフォトレジストの領域と露光していないフォトレジストの領域とからなる露光したフォトレジスト層を形成することと、
露光したフォトレジスト層を露光後ベークにて任意で加熱することと、
露光したフォトレジスト層又は露光しかつ加熱したフォトレジスト層を現像液で処理し、それによってレリーフパターンを形成することと、
上記レリーフパターンを任意で基板上に転写することと
を含むプロセスもまた開示する。
まとめ
今回は、「patternwise」と「imagewise」についてまとめました。
ビデオセミナーでも言われていますが、どれだけ時間をかけたところで「100%満足できる状態」にはなりません。
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