化学・物理

固体電池関連の明細書を自力翻訳

以下の明細書の自力翻訳と、公開訳との比較が終わりました。

【公表番号】特表2023-512743(P2023-512743A)
【公表日】令和5年3月29日(2023.3.29)
【発明の名称】A METHOD OF MANUFACTURING SOLID STATE BATTERY CATHODES FOR USE IN BATTERIES

以下についてまとめます。

  • 翻訳 + 見直しに要した時間
  • 不足していた知識
  • 訳で悩む
  • 全体的な振り返り(反省点など)

この記事では、全体的な振り返りや反省にとどめることとし、公開訳との比較などは別の記事にまとめる予定です。

翻訳と見直しについて

翻訳

1時間ごとの翻訳ワード数を計測しました。その結果、1日ごとの翻訳ワード数は以下のようになりました。

・合計ワード数:17,140w
・翻訳に要した合計時間:54h

2日間はほとんど惰性で9時間やりましたが、しんどかったですし、集中力もあまり保てません(何なら8hでも)。集中力を保って翻訳できるのは1日6時間くらいじゃないかと感じました。

1時間ごとの記録

以下は、1時間ごとの記録です。

分かりづらいですが、左の列から「計測開始時のワード数」、「計測後のワード数」、そして「(計測開始時のワード数)-(計測後のワード数)=処理ワード数」です。

つまり一番右の列をみれば、1時間ごとの処理ワード数が分かります。

1時間あたりの処理ワード数が少なかった枠に×をつけ、その横に、時間を要した原因となった不足知識を記載しています。

これについては、「不足していた知識」として後ほど書きます。

反対に、1時間あたりの処理ワード数が多かった枠には〇をつけています。

処理ワード数が多いのは、おもに「発明を実施するための形態」の繰り返し部分、図面の説明、請求項です。

見直し

見直しに要した時間は、以下のようになりました。

作業期間:11/16~17、11/20

  • Word上で見直し + memoQのQA機能:15h
  • Just Right!7上での見直し:1h

不足していた知識

訳出時に不足していた知識は以下の通りです。

・プラズマ生成メカニズム
・スパッタリングと蒸着の違い
・プラズマと電力の関係
・プラズマとアンテナの関係
・高周波、直流、パルス直流電源
・X線回析(ピーク)
・粗さ&厚さ測定装置
・ミラー指数と結晶面
・結晶構造の空間群
・”Roll to Roll”工程と”Sheet to Sheet”工程

プラズマスパッタリングやX線回析については、知識が浅い状態だったので、調査しながら訳すことになりました。

また、今回は測定装置に関する記載も多く、時間がかかりました。

さらに、苦手意識を持っている結晶構造についても、やや踏み込んで記載されていました。

正極活物質の結晶構造が電池の性能に大きく影響することは知っていたものの、今回の明細書をサクッと読めるほどには掘り下げていなかったので、自分の知識の浅さを認識させられました。

ここで挙げたものの一部については、別の記事にまとめる予定です。

時間を要したワード

訳出時に悩んだり、後で訳し直したりして時間を要したものは以下の通りです。

・material(材料、物質)
・machine, apparatus(装置、機械)
・deposition(堆積、蒸着)
・power(電力、出力)
・film(フィルム、膜)
・elemental(単体、元素)
・converge(集束する、収束する、集中する)
・load(入れる、設置する)
・rate, ratio(比率、割合、比)
・rate(流速、流量)
・curved(曲面、湾曲、曲線)
・system(系、システム)
・transfer(移動させる、搬送する)
・battery(組電池、バッテリー、電池)
・example(実施例、例)
・angled(角度をなす、角度をなすように配置され)
・regime

これらについては、(すべてではないですが)別の記事にまとめる予定です。

全体的な振り返り(反省点など)

今回の明細書の自力翻訳を通して、全体的な振り返りをします。

おもに反省点です。

訳し直しが多い

今回、訳し直しが多かったことが大きな反省点です。

先ほどの「時間を要したワード」のところで挙げた用語を中心に、一度決めた訳を後から「やはり●●では?」と訳し直したものが少なからずありました。

講座で言われている通り、1発で決められないのは、その分野の知識が不足しているということです。

訳抜けが多い

次に、訳抜けが多かったことです。

これは見直し後の完成した訳文に訳抜けが多かったということではなく、見直し時に発見する訳抜けが多かったということです。

全体の翻訳が終わった後にWord上で見直しをするのですが、その際に訳抜けに気がつくのです。

1語ならまだしも、数語のフレーズが抜けていることもあります。

見直しで気づけばそれでよいという問題ではありません。今回、見直し後にも関わらず2語の訳抜けがありました。

Word上での1文ずつの訳文が完成した後、memoQに貼り付ける前のチェックが甘いのです。

今後は、1語ずつ対応させてチェックすることを徹底します。

加えてmemoQのQA機能で訳抜けチェックができるように、オリジナルのチェック項目を追加しました。

見直し時間

今回、見直しに16hかかったのですが、その質が良くなかったです。

分からないものを調べているうちに、ふと気がつけば、思考停止した状態でPC画面をスクロールしながら眺めていることが多かったように思います。

ある程度で見切りをつけるということができていませんでした。

さらに、訳抜けや訳し直しの箇所が多かったことも、見直しに時間を要した原因となりました。

良かった点

今回、良かった点もあります。

それは、17,000ワードの明細書をすべて自力翻訳したという経験を得られたことです。

これまでと違い、memoQに表示される進捗度がなかなか進まないことや、長い文書にわたって訳語の統一に気を付けなければならないことが小さなストレスでした。

8,500ワード程の2つの明細書を翻訳するよりも、17,000ワードの明細書1つを翻訳する方が辛いだろうという印象です。

そういった意味では、今回の明細書を経験しておいて良かったと感じています。

実ジョブで焦らず対応できるように、今後も15,000ワード超の明細書を使って自力翻訳します。

また、トライアルを受け始める前に、20,000ワード超の明細書でシュミレーションも行う予定です。

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