3Mフルオロポリマー明細書
以前の記事(以下のリンク)で、「3Mフルオロポリマーを自力翻訳&ビデオセミナー視聴するために、関連明細書を数件読んで知識補充」していることを書きました。

予定通り、フルオロポリマー関連の日本語明細書を3件読んでから、別の1件の明細書を使って対訳学習しました。
一文ずつ、まずは自力翻訳してから公開訳と比較する対訳学習です。
不足知識をまとめながら、5日間でこの学習を終えました。
その後ようやく、講座の3M対訳学習で題材とされているフルオロポリマーの明細書にとりかかりました。
事前に対訳学習を行った明細書も3Mのフルオロポリマー関連でしたので、今回はサクサクと進められています(昨日は5,000ワードほど進められました)。
課題
今回の明細書は、細かい日本語表現に悩むことはあったものの、内容理解に関してはそれほど苦戦しませんでした。
しかし、以下の課題というか、少し悩んだものがありました。
- 化学物質の名称
- 係り受け
- 実施例
①化学物質の名称
①について例を挙げると、’acrylate’を「アクリル酸」にするのか「アクリレート」とするのか、などです。
‘methyl acrylate’を「アクリル酸メチル」として、’dimethylaminoethyl acrylate’を「ジメチルアミノエチルアクリレート」とすると、’acrylate’に対する訳が統一されていないことになるのか?
‘acrylic acid, methyl acrylate, ethyl acrylate,…’と列挙されている部分を、「アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル…」と訳出したとします。
そして、その後に登場した’dimethylaminoethyl acrylate’を、「ジメチルアミノエチルアクリレート」とせず「アクリル酸ジメチルアミノエチル」とする方がいいのか…?など。
調べた上でいずれも間違いではない場合、明細書内でどちらかに統一するのがよいだろうと考えましたが、これまでに読んだ明細書によっては統一されていないものもあります。
②係り受け
次に、係り受けです。
例として、以下の文を挙げます。悩んだのは、太字部分です。
Surface treatments for the fluoropolymer layer, including the use of powerful reducing agents (e,g., sodium naphthalide) and corona discharge , have also been employed to enhance adhesion.
今回の説明に不要な(e,g., sodium naphthalide) の部分を省略して書きます。
「強力な還元剤を使用すること、及びコロナ放電を行うことを含む、フルオロポリマー層に対する表面処理もまた、粘着性を高めるために用いられている。」という意味合いで理解しました。
つまり、フルオロポリマーに対する表面処理として、
・強力な還元剤を使用すること
・コロナ放電を行うこと
が挙げられるということです。
ここで、何に悩んだのかというと、原文では’the use of powerful reducing agents’と’the use of corona discharge’が並列関係になっていると考えたのですが、日本語にした時の自然さから、’the use of powerful reducing agents’と’corona discharge’が並列関係にあるのか?ということです。
前者の場合、「強力な還元剤及びコロナ放電の使用」となります。「コロナ放電の使用」が日本語としてやや不自然に感じます。
後者は「強力な還元剤の使用及びコロナ放電」となり、こちらの方が自然です。
些細なことを気にしすぎているのかもしれません。「コロナ放電の使用」という表現にしても、自分が不自然だと感じるだけなのかも知れません。
③実施例
最後に、③の実施例について。
実施例は、(当然、流れを理解した上で)ほとんど機械的に訳せるものもあれば、時間を要した割には自信を持てないものもあります。
例えば、現在翻訳している明細書で、最も時間がかかってしまった部分が、以下の実施例の太字部分です。
Glass microscope slides and stainless steel panels (1 inch (2.5 cm) by 2 inch (5.1 cm) pieces) were cleaned with acetone. A surface of the glass or steel substrate was flood coated with a primer, and a piece of fluoropolymer film was subsequently laminated onto the coated substrate in a good surface contact. A strip of silicone liner was inserted along the short edge between the substrate surface and the fluoropolymer film to provide tabs for the peel test.
以下の通り訳しました。
「剥離試験用のタブを提供するために、基材表面とフルオロポリマーフィルムとの間に、シリコーンライナーのストリップを短辺に沿って挿入した。」
ネットでの調査の結果、tabs は「タブ」、strip は「ストリップ」という表現が使用されていました。
ストリップは、シリコーンでコーティングされた、粘着テープなどの保護剤であり、タブは、剥離試験の際に引っ張る部分(持ち手部分)であると理解しましたが、ここまで調べるのに時間がかかる上、「本当にこれでいいのか?」とスッキリしない感じなのです。
以下のように、横から見るとT字型のように上下から引張り、剥離試験を行うものと理解しています。

しかし、’A strip of silicone liner was inserted along the short edge between the substrate surface and the fluoropolymer film’から、ストリップは、フルオロポリマーと基材の間に挿入されています。

上の画像のように、ストリップが層間に挿入された状態で、かつタブとなるのはどういうことだ?と引っかかったままの状態です。
引っ張る際の持ち手部分、つまりタブとなるには、層の一番外側になければならないのでは?と。
あるいは以下のように、タブになるのはフルオロポリマーと基材なのでしょうか。

この部分に関しては、唯一内容理解のないまま翻訳をして次に進んでいる状態なので、公開訳やビデオセミナーにて確認します。
2023/10/03追記:
ビデオセミナーでコメント頂きありがとうございました!
今後の予定
自力翻訳が本日中に終わる予定です。
その後、公開訳と一文ずつ比較して、気づきや違和感を持った部分にメモを残し、メモをもとに講座のビデオセミナーを確認します。
これを10月の1週目には終わらせる予定です。
その後は、クロマトグラフィー、ドラッグデリバリーシステム、がん免疫療法など、主にバイオ・メディカル関連の自力翻訳&公開訳との比較に取り掛かります。