Trados、memoQを使った翻訳を開始してから一週間が経過したので、気づきなどまとめます。
memoQ
Tradosよりも感覚的に操作可能とされる(他の方のブログ等を参考)、memoQから使用を開始しました。
memoQ購入時に一通りの操作(新規プロジェクト立ち上げからファイルのエクスポートまで)を経験していたおかげで、特に問題なくプロジェクト立ち上げ、メモリ・用語ベース作成と紐づけが完了しました。
そして翻訳作業を最後まで完了後、用語ベースとメモリのエクスポートができました。
まずはmemoQを使った一連の流れを経験することが目的であったため、すでに対訳学習を行ったガスクロマトの明細書を翻訳対象としました。
Trados
続いてTradosです。
Tradosも、購入後に一通りの操作を経験していたので、特に問題なく作業できました。
題材は、memoQと同じくこちらもすでに対訳学習を行った、mRNAのインビトロ製造に関する明細書です。
これまでExcelで作成していた用語集、講座で支給された用語集をconvertし、組み込みました。
問題が発生したとき、大抵のことはブログや公式サイトに同じようなことが書かれているので、疑問のまま残すことなく1件の明細書を最後まで翻訳作業できました。
用語ベースとメモリの考え方
memoQやTradosの操作自体より、メモリと用語ベースの概念というか、扱い方に慣れるのに時間を要しました。
ハコを作り、その中にデータをインポートしたり、エクスポートするという考え方は理解したのですが、
実際に操作していると、自分が何をしようとしているのか分からなくなったのです。
そのせいで数時間の無駄な時間を費やしたように思います。
そこで操作を行う前に、これから何をしたいのかをノートに書くこと、また、ある操作をするたびにノートに記録として残しておくことで混乱がなくなりました。
無事に、マスターメモリ【化学、バイオメディカル】、マスター用語ベース【化学、バイオメディカル】の作成と、蓄積していた分のインポートができました。
その他、ツールを使った翻訳工程でできるようになっておきたいことをリスト化しておきました。
その他のツールと併用する
訳文の作成
TradosやmemoQを使った翻訳と書きましたが、翻訳の作業自体はWordで行いました。
理由は、短い用語であれば用語認識したものを翻訳セグメントに適応するより、Word上で手打ちした方が速いためです。
特にTradosは、操作してから反応までがワンテンポ遅い気がします。
文の分割など秀丸で前処理し、それ以降はWordです。Wordで訳文を作成し、完成した訳文をTradosやmemoQに貼り付けました。
Wordについて
様々ある文章作成ソフトの中でWordを使う理由は、これまでWordで対訳学習を行ってきて慣れているためです。
今のところ前処理にのみ使用している秀丸よりも、Wordの方が翻訳に使いやすいです。
秀丸では、例えばandやorを太字で表示させるなど事前に強調表示の設定ができるので、訳漏れ防止のために便利でしょう。
しかし、逆にそれを強調したために誤った思い込みが発生したり、強調したもの以外の部分を見落とさないか?とも思います。
今のところ、翻訳しながら強調表示ができるWordの方が良いと感じています。
マーカを付ける、下線を引く、太字にする、テキストの色を変えるなど強調のバリエーションが多く、接続詞は太字で名詞は黄色マーカをつけるなど自分なりにルールを作ることもできます。
秀丸について
秀丸のいいところは、様々な正規表現が使えることで、この機能は翻訳文の前処理に大変便利です。
それに、秀丸上で対訳を作ることで、そのままTradosを使ってメモリにすることもできます。
しばらくは秀丸→Wordの流れを続けてみますが、まだ知らない秀丸の機能が多くあります。
なるべく工程は減らしたいので、いずれは秀丸だけにするかもしれません。
見直し工程について
今回はすでに対訳学習を行った明細書を題材にしているため、バイリンガルファイルを作成するところまでとしました。
memoQはQA機能が優れているとのことなので、このQA機能を使った見直し工程に組み込みたいです。
次回以降、1件の明細書全体を自力翻訳する際にこの機能を使って、見直しまでを経験する予定です。
その他、JustRight!やWordの校正機能、EKWordsによる表記ゆれチェックも使いますが、
最終的には自分の目でチェックすることが重要であることは言うまでもありません。
CATツールを使った翻訳全般について
CATツールを使った翻訳では、中身に向き合うことを忘れそうになることが課題になるだろうと予想します。
今回は、あくまで一連の流れを経験することが目的だったので、ある程度手を動かすだけの「作業」となってしまうことは分かっていました。
しかし、マッチした用語や文が表示されることから、今後「機械的に当てはめるモード」になりやすいだろうと感じました。
また、CATツールを用いる場合、Wordだけで翻訳をしてみたときと比較して、用語ベースやメモリの管理といった翻訳作業以外の工程が増えます。
それでも、TradosやmemoQを利用する方が圧倒的に効率が良くなることは、使い始めた自分でも理解できます。表記ゆれを回避することも可能です。
TradosとmemoQの使用にあたっては、以下の『翻訳ツール大全』を何度も参照させて頂いています。いつでもアクセスできるようにpdf版を保存し、さらに印刷したものをファイリングしてあります。
あくまでツール
内容に向き合うことが一番重要であって、ツールはあくまでツールなのだということを忘れないよう心掛けます。
とはいえ頭で分かっているつもりでも、今の自分では腑に落ちるレベルで理解できていないでしょう。
今後自力翻訳を行うことで、このことを嫌でも痛感させられるのではないかと予想します。