6月の終わり頃から、明細書をWord上で英日対比させながら読む学習をしています。
8月に入り、講座の「Varian-GC/MS特許を読む」シリーズに取り組んでみることにしました。
講座ビデオを視聴する前に行ったことと、動画を視聴して気づいたことをまとめます。
講座ビデオを視聴する前に行ったこと
①日本語で読む
講座ビデオを視聴するにあたり、まずは該当する以下の明細書を日本語で読みました。
【公表番号】特表2000-502460(P2000-502460A)
【公表日】平成12年2月29日(2000.2.29)
【発明の名称】実時間ガスクロマトグラフィー質量分析極微量気体検出
クロマトグラフィーについては、化学を学習していた頃に学んだものの、明細書を読み込んでいませんでした。
今回、復習がてら周辺知識を入れて読むことによって、理解しながら読み進めることができました。
しかし、1つの図面に異なる複数のフェーズにおける動きを書き込むと、文章の内容を理解しながら追えなくなりました。
そこで、同じ図面を数枚印刷し、各フェーズのガスの流れやバルブの開閉を書きこみました。フェーズごとに分けると、理解しやすくなります。
書き込んだ矢印が動いているようにイメージし、各フェーズが連続して起こっているのだと理解しながら明細書を読み進めます。
一部、日本語が分かりにくい部分があったため、英日で対比させる時のためにチェックしておきました。
②英日対比させて読む+少しだけ自力翻訳
不足知識を補充しながら日本語で最後まで読んだ後、英日で対比させて読みました。
公開訳と原文のみ対比させていましたが、途中からは英文だけを見て自力で訳してみて、一文ずつ公開訳と対比することにしました。
そこで感じたことは、「内容理解が最も重要である」という至極当然のことでした。
自力翻訳を行った範囲では、公開訳よりも自分の訳の方が好ましいと感じたものもあれば、公開訳の方が好ましいと感じるものもありました。
違和感を持ったところは、このようにメモを残しておきました。
例を一つ挙げると、以下の文です。
Commercially available quartz-lined stainless steel components are preferred because the stainless steel lined with silica is less fragile and more flexible and durable.
市販の石英系のステンレス鋼製の構成成分が好適であり、これは、シリカを有する系列のステンレス鋼は、易損性が小さく、より可撓性であり耐久性があるからである。
公開訳では、quartz-lined stainless steelに対し「石英系のステンレス鋼」、the stainless steel lined with silicaに対し「シリカを有する系列のステンレス鋼」となっています。
わたしは、この”-lined”や”lined with”は、ガスが通過するステンレス鋼の管内部表面をシリカで「コーティングした」とか「覆った」というイメージではないかと考えました。
このように。
調べると、これを「ライニング」ということが分かります。ライニングによって構成部品の耐久性が改善するというのが、この文章の言いたいことであると理解しました。
その他、様々な組み合わせのワードで検索したものの自信を持てない用語(例えば、”sample depleted air”は「希薄空気」なのか?「枯渇空気」なのか?など)について、管理人さんがどのように訳語確定のためにアプローチしているのかを確認することを課題としました。
講座ビデオを視聴後の気づき
まだ「0332_Varian-GC/MS特許を読む(13)」までしか視聴できていませんが、現時点での気づきをまとめます。
Trados上で作業をしていないという点を除けば、現在自分が行っている対訳学習方法とほとんど同じです。つまり、英文を細かいまとまりに分割した上で公開訳と対比させるということです。
しかし、自分と管理人さんでは大きく異なるところがあります。それは、動画内での管理人さんの言葉を借りれば「パズルの完成図が見えているレベル」です。
自分の中である程度答えを持った上で、予測しながら読み進めるということができていなかったのです。
原因の原因が考えられます。
- ガスクロ関連の明細書を読んでいなかった
- これまで読んできた分野でさえも、今回の明細書に横展開できるレベルで理解していない
また、今回の特許のコアとなるイメージが自分の中にあれば起こらないミスもいくつかありました。
日本語明細書を読んだときに理解しながら読めているとしても、その理解の解像度が、翻訳者として求められるレベルよりも低いということです。
一方、検索ワードの選定や企業サイトでの調査などについては、講座ビデオとほぼ同じレベルで行っていることは確認できました。
そこから「どうやって納得できる訳にアプローチするのか」というのは残された課題であり、引き続きこのシリーズの講座を視聴しながら学習を進めます。
今後の予定(8月)
8月半ばを目途に、すでに英日対訳学習を行った複数の明細書を使って、Trados上で翻訳練習を開始する予定です。
まずは、Tradosを使った翻訳の一連の作業に慣れることを目的とします。
そのために、あえて対訳学習を行った明細書を使い、さらに、その明細書から収集した用語集を組み込みます。