バイオ・メディカル

ディーゼルエンジンとバイオディーゼル燃料

ディーゼルエンジンとは

ディーゼルエンジンは、圧縮した空気に霧状の液体燃料を噴射することで着火させ、そのエネルギーを動力にするエンジンである。

ガソリンエンジンとの違い

ガソリンエンジンと比較して、ディーゼルエンジンには以下のような違いがある。

燃料

まず、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンでは使用する燃料が異なる。ディーゼルエンジンの燃料は軽油、ガソリンエンジンの燃料はガソリンである。

燃焼方法

次に、燃焼方法が異なる。ガソリンエンジンは「火花によって着火」、ディーゼルエンジンは「自然着火」という違いがある。

ガソリンエンジンではスパークプラグから火花を飛ばして空気とガソリンに着火するのに対して、ディーゼルエンジンは高圧高温の空気に燃料を噴射して自然着火させる。

熱効率と燃費

一般的にディーゼルエンジンはガソリンエンジンと比較して熱効率が良く、燃料消費が少ない。

熱効率とは、投入された熱エネルギー原のうち、仕事(動力)やエネルギー(電気エネルギーなど)に変換される割合のことであり、熱効率が高いほどエネルギー損失が少ないということを意味する。

ディーゼルエンジンの4つの工程

①吸気(空気の取り込み)

吸気バルブが開き、空気が燃焼室に送り込まれる。排気バルブは閉じている。

②圧縮

吸気バルブが閉じ、ピストンの上昇によって空気が圧縮される。

③燃焼(膨張)

インジェクションノズル(燃料噴射ポンプ)から、微粒子化した燃料が噴射される。高圧縮されて高温になった空気と反応して自然着火し、燃焼ガスが発生する。

燃焼ガスの圧力によりピストンが下がる。

④排気

再びピストンが上昇すると排気バルブが開き、燃焼ガスが外へと排出される。その後、再び吸気工程に戻る。

ディーゼルエンジンの課題とクリーンディーゼル

ディーゼルエンジンは、燃焼圧力が高いため、ガソリンエンジンよりも振動、騒音が大きいという問題があった。

また、ガソリンよりも空気と混合しにくい軽油を使っており、未燃焼ガスが多く発生する。排気ガスにはNOx(窒素酸化物)や粒子状物質を多く含むため、環境汚染や健康への影響が懸念されていた。

2003年、ディーゼル車の規制が強化されたことで誕生したのが「クリーンディーゼル」である。

クリーンディーゼルは、不完全燃焼が原因で生じる排気ガスを抑えることで、NOxや粒子状物質の排出量が少ないディーゼルエンジンとして開発された。

また、燃焼によるピストンのノック振動を抑えることにより、従来のディーゼルエンジンのような振動や騒音が軽減した。

バイオディーゼル燃料

バイオディーゼル燃料は、菜種油、ひまわり油、大豆油、コーン油などを原材料としたディーゼルエンジン用の燃料のことであり、軽油の代替品として使用される。

バイオ燃料の一つとして、バイオディーゼル燃料について以下の記事にまとめている

バイオマス燃料この記事では、以下の5つのバイオマス燃料についてまとめています。 ・木質バイオマス ・バイオディーゼル燃料 ・バイオエタノール...

(特許)バイオ燃料使用ディーゼルエンジンの燃料噴射システム

ディーゼルエンジンのバイオ燃料に関する以下の特許明細書を取り上げます。

【公開番号】特開2015-10469(P2015-10469A)
【公開日】平成27年1月19日(2015.1.19)
【発明の名称】バイオ燃料使用ディーゼルエンジンの燃料噴射システムおよびその設定方法

従来のバイオディーゼル燃料の課題

植物油や廃食油は、そのままの状態であるとバイオディーゼル燃料として使用するには粘度が高い。

アルカリ触媒下でアルコールと反応させてメチルエステル化処理をする必要があるが、メチルエステル化処理には費用がかかる。

そこで、このような処理を行わずに植物油をそのままディーゼルエンジンの燃料として使用するニートバイオ燃料が望まれる。

課題を解決する発明

 本願発明においては、燃料噴射ポンプと、ニートバイオ燃料をシリンダ室内に噴射する
噴射ノズルと、前記燃料噴射ポンプにより加圧されたニートバイオ燃料を前記噴射ノズル
に送る燃料噴射パイプとを備えてニートバイオ燃料を使用したディーゼルエンジンの燃料
噴射システムが構成され、前記燃料噴射パイプの内径が、同一のディーゼルエンジンにお
いて軽油などのディーゼル燃料を用いるときに設定される燃料噴射パイプの内径より大き
いことを特徴とする。

本発明において、燃料噴射ポンプで加圧された燃料を噴射ノズルに送るための噴射パイプの内径を大きくすることで、ニートバイオ燃料を用いることによるトルクの増加を低減することができた。

燃料噴射ポンプ

ディーゼルエンジンは、高圧高温の状態にした空気に霧状の液体燃料を噴射して着火させるための燃料噴射システムが必要である。

燃料噴射システムは、燃料を加圧する「燃料噴射ポンプ」、燃料をシリンダ室内に噴射する「噴射ノズル」、燃料噴射ポンプで加圧された燃料を噴射ノズルに送る「燃料噴射パイプ」で構成される。

この噴射パイプの内径が、通常用いられる噴射ポンプの内径よりも大きいことを特徴とする。内径を大きくする理由は、燃料と噴射駆動トルクに関係している。

噴射駆動トルク

「トルク」とは回転させる力のことをいう。

燃料である植物油をそのまま用いる場合、粘度が増加する。燃料の粘度が増加すると、燃料噴射パイプで流路抵抗が大きくなることにより、噴射駆動トルクが増加してしまう。

噴射ポンプで加圧された燃料を噴射ノズルに送る噴射パイプの内径を大きくすることで、トルクの増加を低減することができる。アマニ油を用いた実験の結果、噴射パイプの内径を2.2mmとするのが最適であると分かった。

参照

ディーゼルエンジンとガソリンエンジンの違いとは?
https://www.webcartop.jp/2016/05/41714/
ディーゼル車とガソリン車では寿命が違う?その理由とは?
https://carnext.jp/magazine/article/diesel_vehicles_life/
エンジンの常識は変わった 続々生まれる新しい技術トレンド
https://autoprove.net/automobile_study_group/166171/
エンジンのトルクと出力とは?トルクはエンジンの回転力、出力はエンジンの仕事量
https://clicccar.com/2020/10/15/1025311/

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